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【マイホーム計画#04】住宅ローンの全貌|「自己資金ゼロ」と「頭金ゼロ」の勘違い。

この記事では、私が実際に体験した“住宅ローンの裏側”を、なるべくわかりやすく解説していきます。

まず最初に伝えたいこと──自己資金ゼロでは家もマンションも買えません

よく「頭金ゼロでも家が建つ」と言われますが、あれは半分ウソです。
正確に言うと、建物や土地代そのものはローンで賄えますが、“ローン実行前に必要な現金”が必ずあるんです。

家づくりの序盤で発生する代表的な支出はこのあたりです:

  • 土地の手付金(5〜10%)
  • 住宅会社への契約金(5〜10%)
  • 印紙税・登記費用・火災保険料・銀行手数料・保証料
  • つなぎ融資の利息・手数料

このうち、ローンでカバーできるのは登記費用・銀行手数料・保証料・火災保険料(条件付き)くらい。
一方で、土地の手付金・契約金・印紙代・つなぎ融資の利息などはローン実行前に発生するため、完全に自己資金が必要です。

つまり、こうなります

ローンで払える:登記費用・銀行手数料・保証料・火災保険(銀行経由)
自己資金で払う:土地手付金・契約金・印紙税・つなぎ融資利息・外構費(別発注分)

実際の現金負担は200〜300万円前後が最低ライン

「貯金ゼロでもなんとかなるっしょ」と思って動くと、途中で資金ショートします
銀行の融資は「建物が建ちはじめてから」しか下りないので、序盤の支払いを乗り切る現金がないと家づくりそのものが止まります。

これは建売やマンションでも同じです。
契約時に数十万円〜百万円単位の申込金・契約金が必要で、ローン実行は引渡し時。
つまり、どの形でも最初に現金が動く構造は変わりません。

私自身も自己資金300万円+銀行手数料130万円を準備しました。
これは“豪華仕様の話”ではなく、誰が家を建てても通る現実的なラインです。
※持ち出しゼロのマイホームは、現場ではほぼ存在しません。

「頭金ゼロ」と「自己資金ゼロ」はまったく別物

よく住宅会社や広告で「頭金ゼロでOK!」というフレーズを見ますが、あれは“頭金”と“自己資金”を意図的に混同させているパターンが多いです。

  • 頭金:住宅ローンの借入額を減らすために、本融資実行時に一緒に支払うお金
  • 自己資金:ローン実行“前”に必要になる現金。手付金・契約金・印紙代・つなぎ融資利息などが含まれる

つまり、「頭金ゼロ」でも「自己資金ゼロ」では絶対に進めないということです。
広告上は“ゼロでも家が建つ”ように見せていますが、実際は契約〜着工の間で現金200〜300万円が動きます。

🏠 まとめると
頭金ゼロ → 借入金額が多くなるだけ(ローンでカバー可)
自己資金ゼロ → そもそも契約・着工できない(現金必須)

この違いを理解してないと、「頭金ゼロで買える」と思い込んでから現場で止まる人が本当に多いです。
ローンはあくまで“完成してから下りる”という基本構造を忘れないようにしましょう。

似たようなことを説明しちゃいましたが、大事なことなのでまあ良いでしょう。

最後に一点、ローンの保証料は原則現金支払になりますが、金利を0.2%ほど上乗せするとローンの中に含めてくれる銀行が多いです。
ただローンの保証料は総借入額の2%程度で5000万でも100万程です。できればこれは現金で払ったほうが良いかと思います。

金利の話だけじゃ、住宅ローンは語れない

住宅ローン=金利の話だと思っている人、多いと思います。でも実際はもっと複雑です。契約のタイミング、銀行との交渉、自己資金の扱い、手数料、そして「どこまでローンに入れられるか」。この辺を知らないまま家づくりを始めると、あとで後悔します。

私は個人事業主として5,900万円(変動1%)を借りました。条件として自己資金300万円を入れること。つまり総額6,200万円規模。さらに銀行に払う手数料が約130万円。正直、私の場合は信用力が高くない属性なのでこれに関してはかなり割高かと思います。ちなみに自己資金300万というのはこの手数料の支払いでもOKです。

家づくりのお金の流れをざっくり理解する


家づくりでは、完成してローン(本融資)が実行されるまでに複数回お金が動きます。まずは順番だけ掴みましょう。

  1. 土地購入
    ・この時点ではまだローンは下りません。
    自己資金(手付金5〜10%など)か、銀行が対応する場合のみつなぎ融資
  2. 住宅会社の申込み・プラン作成
    ・仮契約金として5〜10万円程度。
    ・ここも自己資金
  3. 請負契約
    ・建物の金額・仕様・工期が確定。契約金は数十万〜100万円前後。
    ・原則自己資金(一部銀行で例外対応あり)。
  4. 着工・上棟(中間金)
    ・工事の進捗ごとに支払い。
    ・ここからつなぎ融資が使えるケースが一般的。
  5. 完成・引渡し
    ・最終金の支払いと同時に、住宅ローン(本融資)が実行されます。

ポイント: ローン(本融資)は引渡し時に実行されます。それまでの支払いは自己資金またはつなぎ融資でつなぐ期間がある、という構造です。

Tips|請負契約ってなに?

  • 本契約:ここで金額・仕様・工期が確定。以後のキャンセルは基本むずかしい。
  • 支払い割合:例)契約10%・着工30%・中間30%・引渡し30%(目安)。つなぎ融資の金利/手数料も要確認。
  • 住宅ローン特約:本審査NGなら白紙解除できる条文。期日と返還条件をチェック。

詳細に関しては請負契約編で後ほど解説していきます。

つなぎ融資とは?──“橋”を渡るための一時借入

建築中に発生する支払いをカバーするために、銀行が一時的に貸してくれるのがつなぎ融資です。
私の場合、土地→着工→上棟→引渡しと4段階で支払いがあり、その都度つなぎ融資を使う予定です。
基本的に注文住宅を建てる人はこのつなぎ融資を使うと思いますが、マンションや建売の場合はもう物件が完成してるケースが多いので使わないケースが多いです。

ここで注意すべきは、つなぎ融資にも利息と手数料が発生すること。期間が短くても数十万円単位でかかります。

例:
つなぎ融資(6000万円中3000万円を半年間利用)
→ 利息年1.5%+手数料5万円前後
→ 合計で約25〜30万円程度のコスト

これを知らずに契約してる人、結構多いです。

住宅ローンで“どこまで”借りられるのか?

住宅ローンは、建物だけではなく「家づくりに関係する費用」も含めることができます。私が経験した範囲では、以下のようなものが対象。

  • 土地代(登記費用も含む)
  • 建物本体価格
  • 外構工事(フェンス・カーポート・ウッドデッキなど)
  • 照明・カーテン・エアコンなどの設備
  • 火災保険・登記費用・保証料などの諸経費

さらに、営業マン経由で銀行に交渉すれば、家電(冷蔵庫・洗濯機など)までローンに含めるケースもあります。これは銀行によって判断が違うので、営業担当と二人三脚で調整するのが現実的かと思います。結構ここは融通が利きます。

銀行に払うお金──手数料・保証料・印紙税などのリアル

意外と知られていませんが、住宅ローンを組むときには「借入額+α」がかかります。
私の場合、総額130万円ほどを銀行関係の手数料として支払いました。

  • 事務手数料:5〜10万円(ネット銀行は定率制も多い)
  • 保証料:借入額の2.0%前後(銀行が保証会社に支払う)
  • 印紙税:契約書に貼る税金(2万円〜)
  • 抵当権設定費用:司法書士への支払い(5〜10万円)

つまり、例えば5,000万円のローンなら初期費用だけで100万円前後かかると見ておいたほうがいいです。

このあたりは営業マンも「だいたい100万前後ですね」とサラッと言うだけなので、実際の内訳は自分で確認するのが大事です。

金利は“数字”じゃなく“仕組み”で理解する

金利は「今いくら?」だけを見るより、“どうやって決まるか”を知っておくと判断を間違えません。

住宅ローンの金利には、大きく分けて2種類あります。

種類金利の決まり方連動する金利特徴
変動金利半年ごとに見直し。短期プライムレートに連動。短期金利(日本銀行の政策金利)金利は低いが、今後上がる可能性あり。多くの人が選ぶ。
固定金利契約時に金利を固定。途中で変わらない。長期金利(10年国債利回り)金利は高めだが、返済額が安定。金利上昇リスクを回避できる。

つまり、短期金利は日銀が動かすもので、長期金利は市場(国債の需給)で決まるという違いがあります。
ニュースで「日銀が利上げ」「長期金利上昇」などと出るのは、このどちらかの話なんです。

💡 ざっくり言うと…
・日銀が政策金利を上げる → 変動金利が動く(短期)
・国債利回りが上がる → 固定金利が上がる(長期)

今の日本は長く金利が低く抑えられてきましたが、これがいつまでも続く保証はありません。
だからこそ、「金利は上がるもの」として余裕を持って設計するのが現実的です。

📈 目安:金利が+1%上がると、6,000万円の借入で月+3〜4万円の負担増。
この“余白”を確保した返済計画にしておくと安心です。

また、金利を1%前後で見積もるのは妥当ですが、
実際にローンを組むときは「短期金利は日銀」「長期金利は国債市場」という構造を意識しておくと、金利ニュースを読んでも動揺しなくなります。

40年ローンは“悪”じゃない。むしろ戦略的に使う時代

私は「40年ローン」も全然アリだと思っています。
借金=悪という感覚は古く、今のような低金利下ではむしろ“借りられるだけ借りて手元に現金を残す”のが合理的です。

  • 返済期間を長く取れば月々の負担が減り、キャッシュに余裕ができる
  • 余裕資金を運用・教育・リフォーム・繰上げ返済などに回せる
  • 途中で繰上げ返済すれば期間短縮も自由

つまり、ローンは「生活を縛る鎖」ではなく「資金設計のレバー」
「最初から完璧に返し切る」より、長く・柔軟に・安全に借りるほうが結果的に得をすることも多いです。

  • 返済期間を長く取れば月々の負担が減る
  • 余裕資金を運用・投資・リフォームなどに回せる
  • 途中で繰上げ返済すれば期間短縮も自由

つまり、ローンは「生活を縛る鎖」ではなく「キャッシュフローの調整弁」です。
無理に短期完済を狙うより、長期で柔軟に設計する方が精神的にも経済的にも安定します。

個人事業主でも上場企業社員じゃなくても通るが、“ルート”を間違えないこと

個人事業主は会社員より審査が厳しいのが現実です。
ただ、地方銀行×ハウスメーカー経由のルートなら通る可能性が高くなります。

  • 営業マンが書類をサポートしてくれる
  • 審査担当者が「案件の背景」を理解してくれる
  • 社内ルートで融通が効きやすい

ネット銀行の事前審査で浮かれるのは危険です。私もSBIの仮審査で「4,000万通った!」と勘違いしてました。実際は“通過見込み”にすぎませんでした。
※ちなみに転職直後はかなり通りにくいので注意です。平均3年くらいの勤続年数は求められるケースが多いので、住宅ローンを組む人は転職前に組んでおきましょう。

住宅ローンは“借金”じゃなく“人生のキャッシュ設計”

住宅ローンを「一生返すもの」とは思わなくても良いと思います。
むしろ、自分の資金とライフスタイルを最適化するツールくらいに思ってもらえれば。
返済期間を長く取ってもいいし、頭金を減らしてもいいと思います。
大事なのは、「今の生活を崩さずに返せるライン」を見極めることです。

家を買う行為は、住宅ローンを“敵”ではなく“味方”にできるかが分かれ目だと思います。
ちなみに自分の年収の目安からどのくらい借りれるかなども簡単に試算できたりします。
これはメガバンクのシュミレーションですが、実際にはこのシュミレーションよりも少し多めに借りれます。一度、“自分がいくらまでなら借りられるのか”を把握してから住宅選びをしてみるのが良いかと思います。
シュミレーションサイト
返済目安とかはSUUMOからも試算可能です。

次回【マイホーム計画#05】は、いよいよ「間取り編」
お金の話から少し離れて、「どう生きたいか」から家を設計する話をしていきます。
動線・居心地・日常のリズム──注文住宅じゃなきゃ叶わない暮らしのデザインについて、具体的に掘り下げます。

シュアお願いします!

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